<aside> 💡 注意事項

こちらの講座は一部を除きオンラインでの実施となります。

【※「ヘーゲル『精神現象学』を読む」のみ、対面とオンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン併用のハイブリッド形式となります。】

YouTubeによる見逃し配信もあります(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く)。ただし、一部見逃し配信がない講座もありますので、お申し込みの際はご注意ください。

受講を希望される場合は、各講座ごとの受付ページでのお申し込みをお願いいたします。

【※Peatixチケット購入締切について:講座最終回の終了時21時00分まで販売しております。途中からお申込みいただいた方には終了した回の見逃し配信のご案内をお送りいたします。】

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<aside> ⭐ 講座のレベル(※あくまで目安としてお考えください)

☆・・・その分野について関心があり、これから学んでみようと思う方

☆☆・・・その分野についてより深く学んでみたい方

☆☆☆・・・普段からその分野によく親しんでいる方

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人文学講座@Online****

哲学

私自身になるためのフランス・フェミニスト哲学入門

初回日時: 2024年4月26日 (金) 19:30 - 21:00 日程 : 4月‐7月の第4金曜日(4/26、5/24、6/28、7/26) 場所 : オンライン会議アプリ「Zoom(ズーム)」 を使用したオンライン講座 YouTubeにて見逃し配信あり(受講生限定、講座期間内のみ、参加者との質疑応答の時間は除く) 参加費: 全4回 一般8,000円/学生4,000円 受講のお申し込みはこちらから。

【講座概要】

本講座は、1970年代の女性解放運動(MLF)から2010年代に至るフランスのフェミニスト哲学の展開――フランスの政治・歴史的文脈におけるフェミニズムの諸潮流と哲学・思想との関係――を辿ります。

フランスは、多文化主義を採るアメリカ型共和制とは異なったフランス特有の共和主義理念――「普遍主義」――に基づく平等観があります。それは人種・出自・宗教等あらゆる差異を超越した抽象的な「市民」の平等を法の下で保障する立場です。『第二の性』(1949年)を著したボーヴォワールはこうした普遍的な主体を担ってきたのは男性であるため、女性は男性と同等となり、客体ではなく主体の位置を獲得すべきであると説きました。ボーヴォワールの思想実践は70年代の女性解放運動によって具現化しましたが、運動はその後、平等派と差異派の二大潮流に分裂しました。平等派は性差が社会的に構築されたとするボーヴォワールの哲学を継承した潮流で、エリザベート・バダンテールを代表格とした主流派の普遍主義フェミニズムと、クリスティーヌ・デルフィが率いる唯物論フェミニズムがあります。他方、「差異派」はこうした抽象的な平等主義による性的差異の不可視化がむしろ男性中心主義を強化する危険性を指摘します。アントワネット・フークは男女の差異を認める立場を採り、上記狭義の「フェミニズム」に対抗したグループ「精神分析と政治(プリケポ)」を創始しました。英米圏では一般に「フレンチ・フェミニズム」の担い手と見なされることが多いエレーヌ・シクスー、リュス・イリガライ、ジュリア・クリステヴァはこのグループ周辺にいました。

第1回、第2回はMLFの誕生からその分裂までの期間(70年代〜80年代)を扱い、普遍主義フェミニズムと唯物論フェミニズム、この潮流に対抗する「差異派」の思想、さらに両潮流から距離をとっていた哲学者サラ・コフマンによる伝統哲学の脱構築について紹介し、その立場上の差異を明確にします。続いて、第3回では、二大潮流を調停しようとした哲学者フランソワーズ・コランを紹介します。90年代、冷戦後の経済グローバル化および移民・人種問題を背景に、コランはハンナ・アレントを手がかりに、フェミニズムを一つのイデオロギーに還元する従来の普遍主義とは異なる、差異を対話により架橋する「複数普遍主義」を構想しました。第4回は2000年代から2010年代にかけ登場した「複数のフェミニズム」――インターセクショナル・フェミニズム、ムスリム・フェミニズム、エコ・フェミニズム等――の展開を紹介し、とりわけ、性と「人種」の交差的課題に哲学的考察を加えているエルザ・ドルランの思想を取り上げます。

全4回を通じて、フランス・フェミニズムの諸潮流とその思想的布置を把握し、翻って、日本語文化圏におけるフェミニズムの現在についてみなさんと考える機会になればと思います。

【各回の予定】 第一回:フランス・フェミニスト哲学の見取り図①―平等派(普遍主義フェミニズムと唯物論フェミニズム) 第二回:フランス・フェミニスト哲学の見取り図②――差異派 第三回:フランソワーズ・コラン――単一普遍主義から複数普遍主義へ 第四回:エルザ・ドルラン――性と「人種」の複合差別の根源

【参考文献】 ミシェル・ペロー、クリスティーヌ・デルフィー、サラ・コフマン他『女たちのフランス思想』棚沢直子編他訳、勁草書房、1998年。 棚沢直子、中嶋公子編『フランスから見る日本ジェンダー思想史』、新曜社、2007年。(とくに第一部のフランソワーズ・コラン「対話的な普遍に向けて」) 以下は講師の翻訳により講座内で紹介します。 Françoise Colin, L'homme est-il devenu superflu ? Hannah Arendt, Paris, Odile Jacob, 1999. Elsa Dorlin, La matrice de la race; Généalogie sexuelle et coloniale de la Nation française [2006], Paris,La Decouvert, 2009.

【講師】 ファヨル入江容子 甲南大学文学部人間科学科講師。レンヌ第一大学哲学科MASTER課程修了。一橋大学大学院言語社会研究科修了。博士(学術)。 専門はフランス現代思想。 論文に「フランスにおけるインターセクショナリティ(交差性)の受容と新たな社会運動としての展開」(『リミトロフ』、東京都立大学人文科学研究科西山雄二研究室、no.1、59-71、2022年.)、« “Janus double face”:Sarah Kofman et sa judéité intime. Une étude des manuscrits de Rue Ordener, rue Labat » (in SARAH KOFMAN : philosopher autrement, texte réunis et présentés par Ginette Michaud et Isabelle Ullern, Éditions Hermann,377-389,2021)。訳書にギー・ド・モーパッサン『女の一生』(共訳、バベルプレス、2015年)がある。